第28回「安全管理マーク審議会」報告 開催日:平成22年6月24日
会場:東京文具工業健保会館 第2・第3会議室
試買品テスト報告
平成21年度 安全管理マーク商品テスト報告書に沿って村田委員より、
1.テストの目的
2.試験項目及び試験方法
3.試験検査機関(指定機関)
4.資料数
5.資料購入期間
6.有害物質試験結果
7.硬さ試験結果
8.移行性試験結果および
9.消し能力試験結果について
JIS S 6050の規格書も参照し解説があった後、全ての試料が、全試験項目を満足していた旨の報告があった。
なお、上記解説の補足説明として、

〈1〉 サンプルは各委員(工業会側)より提出のあったもの(以前の審議会で決議された方法(工業会のメンバー自身が自社製品よりサンプルを選定:平成17年度の安全管理マーク審議会の決議)による)を使用し、内訳は塩ビ製が6点で非塩ビ製が1点であった。
〈2〉 有害物質試験については、安全管理マーク規定の基準規定で、使用材料に含まれる有害物質と製品中に含まれる有害物質として規定され、前者については、有害物質を成分とする原材料を使用しないものとし、後者については、6.一製品中に含まれる有害物質の試験方法で規定される。8元素についての溶出試験とされ、この試験の根拠は、ヨーロッパのEN-71(玩具の安全性)のPart-3に規定された試験方法であり、この基準に基づいて数値を決めている。当該試験方法の採用以前は、鉛、カドミ、ヒ素としていたが、あまり根拠がないとのことで現行方法を採用した経緯がある。なお、この試験方法並びに規格値はJIS S 6050と同一である。結果の評価として、検出限界値(規格値の1/10の値)を適用している。表2 補正値(ρB2)の意味について問い合わせが多いが、当該試験方法は溶出試験でバラツキが出やすい。故に、ヨーロッパの試験機関の25団体が参加して、当該試験方法のバラツキを統計学に基づいて算出したのがこの補正値である。
〈3〉 硬さ試験結果は、普通消しゴムおよび砂入り消しゴムについては、タイプAデュロメータを用い、プラスチック字消しには、押針形状が直径5.08mmの半球状スプリング硬さ試験機を用いる。3等分してそれぞれの中央部分を1か所ずつ測定し、その中央値を試験片の硬さとするが、3等分出来ない場合は2等分(この場合でも可)にて測定を行うこともある。なお、今回のサンプルは規定通り測定された。硬さは58〜78(規格値:50以上)の範囲で適合している。
〈4〉 移行性試験は、プラスチック字消しの場合、可塑剤が使用され、塗装された鉛筆にプラスチック字消しが接触すると塗膜が剥がれて、消しゴムの方に移行する性質がある。大きなクレームとして、ピアノの上に消しゴムを置いておいて、移行によるピアノの損傷クレームの例を聞いた事がある。移行性を防止するために、字消しにはスリーブを着けている。それで基本的には対応することになるが、簡単に移行しては困るとのことで、この試験項目が設けられる。
〈5〉 消し能力(消字率)試験については、消えるか消えないか、どの程度消えるかを評価するために、条件を一定化させて標準化しているとの報告があった。

一方、工業会側から「上記の平成17年度の安全管理マーク審議会の決議についての補足説明があり、それまではほとんど字消しを市中で検査機関とか委員の皆様方に購入を依頼し、それを村田委員のところで検査をしていた。購入の際に品種が多いこともあり、選択の難しさもあるとの指摘もあって、これまでほぼ問題がなかったという経緯を踏まえ、一度外国から入ってくるものをテストしてみるとの趣旨でテストを実施したが、それもほぼ問題がないとの結論となり、結果的に日本の市中で入手できるものについては、問題ないのではないかと云う事になった。その結果、平成17年の審議会では、会員が一年に一度自身で行っているテストについて、一部市中に出す分を提供して、それについてテストをすると云うことになり、現在、会員がテストして欲しいものを提供している。更に、重金属の毒性については、村田委員に世界の動向について調査を依頼して来ており、逐次変更があれば、JISの改正、安全管理マーク規定の改正等を実施してきたので、重金属の毒性に関しては、日本も外国と比較して遜色がなく、問題はないものと考えている」との報告があった。
CPSIA規制の現状について
村田委員により「CPSIA規制の現況について:2010年2月25日付け財団法人日本文化用品安全試験所殿作成資料」とのテーマで、昨年に引き続きCPSIA規制のその後の動向について、講演を頂く。内容は以下の通り。

先ず、CPSCとは、米国消費者製品安全委員会のことである。
そもそもCPSCとは、1972年に消費者用製品安全法に基づき設立されて翌年から活動を開始した委員会であり、連邦政府の他の機関から独立した組織で、消費者用製品安全法に基づき連邦議会より「消費者製品に関わる危険に対する」組織として指名されている。本部はワシントンDCに近いメリーランド州にあり、スタッフは420名で約15,000種類にのぼる製品の安全性をモニタリングしている。この約15,000種類の消費者製品とは、家庭やその周りで使用される或いはスポーツ用、レクリエーション用、学校用の製品群である。一方、連邦法で規制されているものもあり、自動車やその他の道路を走るもの、タイヤ、ボート等で、こちらについては、資料〈1〉のAと〈1〉のBに記載されている。資料〈1〉のAと云うのは、米国国内の製造業者及び輸入業者が一般適合証明書を用意しなくてはならない製品安全規則と云うのが、昨年の11月3日に発表されたものを抜粋したもので、16のCFRの番号でそれぞれを規制している。〈1〉のBについては、子供製品安全規則で、昨年の11月3日に発表されたものを抜粋した内容である。
資料の1頁戻り、CPSIAとは消費者製品安全法(CPSA)をさらに強化した改善法(CPSIA)で、平成20年8月に設立したもので、12歳以下の子供のための製品の鉛含有量の制限、或いは子供向け製品へのフタル酸エステルについての制限を行っている。また、第三者機関による安全性テストの義務化等々が改善法で規制された。最近のリコールの例としては、ガラスコップからカドミが出て回収したと云う事例があったが、恐らくこれからカドミについても、今後法規制されるのではないかと思われる。
CPSIA規制のスケジュールについては、後ほど説明する。

子供用製品とは、12歳以下の物を先ず対象としている製品で以下のことを考慮する。
メーカーによる表示等、或いは包装、陳列、宣伝、広告で、「12歳以下の者の使用に適している」等の宣伝文句、或いは一般的に消費者が、「その製品は12歳以下の者が使用する」、と認識しているもののことを云うとしている。
ガイドラインにて、子供用のおもちゃ或いは育児用品があり、メーカーが12歳以下のもののために設計し、又は対象とし、12歳以下のものが遊ぶときに使用するためのものと説明している。メーカーが3歳以下の子供を対象とし、子供の睡眠、食事のために使用する、又はしゃぶったり歯がための補助とするものを対象としている。
ボールペンの例について、基本的にボールペンは対象外としているが、設計段階で子供を対象としたデザイン等、こう云うものがあった場合は、対象となるときがあると云われている。今皆さんが使っているボールペンは対象外である。ただあくまでも子供用向け、キャラクター向けはどうなんかという点については、なかなか判断が難しい。あとは消しゴムはどうなるかという点について、基本的には対象外であるが、子供用製品として売り出されているもの、先ほども話があった、におい付き或いはチョコレートの形をしたものはどうなのかという点について、対象となる事も考えられるが、まだ明確なところは出ていない。
適合証明書が必要となるがその証明書には、製造物名、その製造物が対象となるCPSCの規制項目、米国国内のメーカー又は輸入者名、試験結果の参照先情報、製造日・場所、対象規制項目について試験した日付・場所および第三者試験機関名等を明記することになっている。
第三者機関とはどんな試験機関と云うと、基本的には、企業や政府から独立した機関で、あくまでも企業の試験機関は不可で、それから政府系の試験機関も不可と云っている。それと、ISO/IEC17025の認定をILAC-MRAの認定機関から取得した試験機関でなければならない。17025というのは試験所に対する規定の要求事項があり、第三者認定機関から認定を与えられる。
次に、今後のスケジュールについては、資料〈1〉に示されており、CPSCによる子供用製品に含まれる鉛等の規制概要と云うことで、子供用製品とは、12歳以下の子供の使用を意図した製品とされており、該当する製品は先ほどお話しさせていただいた。
規制内容は、A〜Hに示している。

A: 塗装中の鉛含有量で上限を90ppmとする。
B: 子供製品に含まれる鉛含有量で上限300ppmに規制。
C: ※関係が薄いので、表から省いている。
D: 子供用おもちゃ、育児用品中の特定フタル酸エステルについても規制されている。

またASTM規格の中にF963と云うのがあり、玩具安全に関する消費者安全規格のことである。この中で求められている機械・物理的試験、化学的試験、可燃性、表示等については注意が必要である。

F: 幼児用ベット、おしゃぶり、
G: 小部品で3歳未満のおもちゃおよび子供用品、赤ちゃん等が小さなものを飲み込んで窒息死するようなことがあってはいけないとされ、バウンサー、歩行器、ジャンパーについても規制される。

ところで、これらがいつから規制対象となるかについては、

A: 塗装中の鉛含有量は、昨年(2009年)の8月14日から規制されている。CPSCに登録された第三者試験機関による試験が必要となる日も同じように2009年8月14日から証明書を提出せよとの要求事項を設けている。そこで私どもの財団は2009年5月19日付けで鉛含有量については、アメリカCPSCに登録している。
B: 子供製品に含まれる鉛含有量については、上限が300ppmと云うことで、規制は昨年(2009年)の8月14日、但しこれについては、第三者試験機関による試験が必要となった日は、今年(2010年)の2月10日である。私どもの財団は、この内の金属製品について、昨年の11月19日付けでCPSCに登録、樹脂製品についても登録している。
D: 子供用おもちゃ、育児用品中の特定フタル酸エステルについても、これに規制がかかったのは昨年の2月10日です。但し、第三者試験機関による証明書については、延期されている。本来ならば今年の2月10日であったがこれについては延期されて、まだ第三者試験機関による証明書は必要ないという位置づけになっている。こちらについての私ども財団の対応は現在、ISOの17025の取得を予定しており、今月末に申請をし、審査を受ける予定となっている
E: ASTM F963の要求事項に合致しなければならないという規定があり、玩具安全に関するもので、おもちゃについての規定であるが、これについても昨年の2月10日から規制されている。しかしながら、今年の2月10日より第三者試験機関による証明書が必要であったものが、今現在実施されていない。当財団はこれの内の化学的試験については、CPSCに登録済みであり、機械・物理的試験については検討中である。幼児用ベット、おしゃぶりについては、規制が昨年1月20日、第三者試験機関による証明書も昨年の1月20日からとなっているが、当財団は対応していません。
G: 小部品については、規制が昨年2月10日、第三者試験機関による証明書も昨年の2月10日となっている。現在、17025の認定取得準備中ということで、来月審査を受ける予定となっている。バウンサー、歩行器、ジャンパーについては、規制が昨年2月10日に決まっているが、今年の2月10日から第三者試験機関の証明書も必要となる予定であったが、現在のところ延期されているようである。

これが昨年の6月から変わった要点である。なお、話の内容如何によっては熟知しておらない部分もあり、その点について後でご質問等があれば、弊所で担当しておるものに確認して返事させていただきたい。
化学物質に関する世界的な法規制について

工業会側から、
「村田委員どうもありがとうございました。今、米国の規制についてのお話をいただきました。我々は、字消しを作り続けていますが、日本でも規制があり、欧州にもいろいろとそれぞれの思想があって、その思想に基づいて規制が行われています。米国が最近になって新たな規制を設け、フタル酸エステルのDOPとかDINPとかこの辺がまだ決まっていないという問題があり、それぞれの、その三極(日本、欧州、米国)の考え方が三つうまくまとまってくれるかと云うとそうではなくて、それぞれの経済圏で同じものを出しても、欧州向けの証明書、米国向けの証明書というのが要るというのが現状です。
例えば、おもちゃのような字消しを米国に出荷すると、当然、検査を受けますが、たぶん村田委員のところで検査を受けられると思うのですが、アメリカの検査機関で検査を受けるとなると金銭的には非常に大きな負担となると云うのが現状です。その検査機関の代行を村田委員の方で、やっていただけるとなるとそう云った費用的な面で非常に安くなって来るのかなと思っておりますが、何れにしましても、こう云う規制というのは、どんどん激しくなって行くと思います。台湾は台湾で行いますし、中国はまた台湾と違う規制と云うことで、将来的にはもっときちっと纏まって行くんだと思いますけれども、今ちょうどそう云う過渡期にあるのではないかと思っています。
米国での鉛規制に関し、ブローチとかを子供が舐めてしまうと云うことで規制がはじまりましたが、鉛規制というのは日本では随分昔からやっておりますので、今更何を云っているのかと云う感じがするが、実際その様な問題が起こってみないとなかなかこういう事が米国では進んでいかないということです。
それから、フタル酸エステルでもそう云うことなんですが、DOP DHPとか云うものは、一昨昨年に2年後位に規制すると云うことなんですが、その検査が終わっていないので、取り敢えず使うなと云うことで、2年後に使ってもよいか決めると云うやり方で、私達はその検査結果を待っていると云うことでございます。多分これは欧州と米国では違う見解になるものと思います。
何れにしましても、ものを作っていく段階で、こう云うものは子供達の健康がどうのこうのと云うのが基本的なものの考え方ですので、子供達の健康を守るとのことでは、消しゴムなんて云うのはものすごく大事ですし、我々がこれは玩具でないよと云っても、使う側が玩具だとの認識とするとそういう検査を全部受けて、出さないと行けないと云うことになります。だから何が玩具で玩具でないかは云うのは、作る側の思想ではなくて、買って使う側の思想で決まってしまうと云うことが多いです。我々もこれは玩具でありませんよと主張しても、玩具であるから検査が必要とされることも多々あります。
先ほど村田委員の方からご説明いただきましたように、去年、今年について米国では規制がはじまってきています。欧州、米国、日本とそれぞれが別の思想での法規制のあり方を構築しているように見えますが、こう云うものは何処かで何か問題が起こりますと一つになって来ると思いますが、そう云うことなく早く纏まることを期待しているっていうのが現状です」との発言があり、村田委員より
「米国なりの動きがあり、欧州については、EN-71の場合、重金属が8元素と云う話を先ほどしましたが、前回の審議会で、元素数を増やす動きがあるとの話をさせていただきました。その動向がまだ動いていないという状況です。今後、検査対象の元素数の増加について、趣旨や必要性について勉強や検討する事になろうかと思いますが、いろいろと規制が厳しくなっていく状況かなと云う風に見ております」
との見解が示された。

誤飲に関する絵記号表示について
工業会側から
「去年のこの会議で黒木委員からだと思いますが、口に入れてはいけないと云うことが分かるような、そう云う表示を考えてみたらどうですかというご指摘をこの席でいただきました。
そこで、字消工業会の事務局が中心になりまして、どんな絵文字を入れたらいいかと云うことで考えてみましたが適当なものが見つかりませんでしたが、実はSTマークの玩具協会の方に注意表示絵記号があり、七つの絵記号が決められています。玩具協会ではこの絵記号を普及させたいとの意向ですので、自由に使ってくださいと云うお話しがあります。自由に使ってもよいというのは云い方がおかしいかも知れないが、玩具協会と契約をすれば、無償で使って貰っても結構ですよとのお話をいただいてます。
そこで、そういう方向に行こうかと云うことで、字消工業会の中では決めさせていただいております。まだこれから交渉が始まりますので、どのようになるのか分かりませんが、この中に口に入れないと云うマークがあり、このマークだけであると何のことか分かり難いのですが、マークの下に口に入れないと云う文字が入るようになっています。字消しのメーカーでいろいろ検討いたしましたが、このマークを更に入れるというのは至難の業でして、消しゴムのスリーブの中になかなか入らないのですが、何とかして、一部に絵表示を入れなければならない。何かをしないと今の消費者の皆様には十分ご満足いただけない。と云うことでこういう事で進めさせていただこうと思っています。
玩具協会と契約を結ばないと行けないのですが、玩具協会のこれを使う規定の中に、どのようなものに使うか契約で示しなさいと書いてあって、そう云う意味では玩具協会と字消工業会とが契約を結ぶというのは大変ですので、各メーカーが1年間分の使用実施契約を結ぶと云うことになるのですが、それも大変なので玩具協会にお願いして、字消工業会に使わせていただき、字消工業会が各メーカーに対して責任を持ちますよと云う形が出来ますとそういう形で1年間使わせていただいて、なるべくこのマークを使うように進めて行こうと考えています」
との報告に対し、黒木委員より
「ありがとうございます。回覧して回ってきました消しゴムを見ますと、7製品中4製品は文字の方で、食べ物でありませんとか子供の手の届かないところにと文字で入っていることを確認させていただいておりました。
絵表示になりますと、もう少しいいかも知れませんし、入れていただけるとありがたいと思います。しかも、消費者にとってはいろんなマークが氾濫するよりも、ほんとにありがたい、私どもの方は、1年前から消費者庁が立ち上がりまして、現在、消費者庁の行政安全課の方で、委員をさせていただいております。そちらの方で窒息事故の問題を取り扱っておりまして、ゴムボールであるとか、子供が窒息する材質のもの、それに加えて、実は明日行くのですが、コンニャクゼリーの窒息問題で、実は消しゴムについて気にしていたところである。コンニャクゼリーを実験されている先生が歯でいろんな飲食性を調べて、コンニャクゼリーのいろんな材質のものを噛ませて、喉にどういった形で入るのかと云うところ、窒息を起こしているのかというところを食品でも指摘を受け、それと一緒に食品だけではなくて、窒息する素材のものがどう云ったものかで、原因はどうなっているのかと云う調査が始まっているところです。
ですから、明日、もし話題になりましたら、消しゴムの業界さんではこんなに努力して、安全性の克服をしておりますと云うを話が出来ようかと思います」との発言があった。
非塩ビ字消しの動向について
使用・消費者側委員より
「今現在、塩ビ製と非塩ビ製字消しのどちらが出てきているのか」
との質問に関し、工業会側から
「出荷統計(資料)と云うのを入れさせていただいておりますが、出荷統計の推移と云うことで、平成12年度から平成22年度までとなっております。この出荷量は、ここにおりますメーカーが一年間に、これだけ出荷しましたと云うことを村田委員に各企業が報告いたします。
村田委員の方でお纏めいただいて、集計されたものを字消工業会に提出していただきます。平成12年を100とするとその時に比べて平成21年は数量的に63%になっていると云うことです。金額が100といたしますと83%になっている。この中で、シードはその他の字消しに非塩ビ製を入れて報告しており、他の会員も同様の理解であると思います。そうしますと、ここにあります数字位になります。全体的な数字がどうかと云うことは分かりませんが、平成12年と比べると確実にやっぱり非塩ビの方が、増えてきている。塩ビの方が減ってきていると云うことになると思うんですが、塩ビの方が減って、非塩ビの方が増えたと云うよりはむしろ、塩ビの方の消しゴムの売り場がなくて、たくさん売っていたものがどんどん収縮して、変わったと云うよりは、もともと消しゴムの市場が縮小してきているという感じがする。でも確実に非塩ビの方は、多くなってきていると思います。
日本の国内的には非塩ビでないと行けないと云うことではなくて少ないと思いますが、欧州では非塩ビでないと行けないと云うことをしきりに云いますので、日本のメーカーもそう云うところを考えながら、いろいろなものを作って輸出していると思います。
消しゴムをよく使っていただける事務所とか工場とかあるんですが、そんなん日本に無くなってきている。全部中国に行ってしまった。納品業と云うのは、どこかの事務所からノートや鉛筆やボールペンの注文をとって、それを納品していたが、その納品先が無くなってきている。要するに売り場がなくなってきている。
一般の店売り、例えば流通大手がやっていると云うのはそこそこありまして、そう云うところでは一般的な消しゴムと云うよりも、むしろ個人が好きなものを買う。少々高くともおもしろいものを買う。そう云う場所というのは、依然としてきちんとあり、東京でもそう云う風なお店として有名なお店がたくさんある。ちょっと高いけれども色々なものがある。そういうお店が多くなって行っている。納品売りに対して店頭売りと称している。このような店頭売りのウェイトが大きくなってきていると云うのが現状です。納品売りの落ち込みが非常に激しいものですから、トータル的には段々厳しくなってきている。そんな風に考えています。
中でも流通大手から商談を受けますが、プライベートブランドを作って下さいとなり、どれぐらいの数量で、どれ位の値段で作りますかが問題です。我々はナショナルブランドと云うことで、一つのロットが何百万個と云うものを作りますが、巻紙にしても箱にしても何百万個作りますので、それらの資材を発注する。それらを外国にも発注して安く仕入れて、本体は日本で作ってメイドインジャパンとする。30万個で今までの納入価格の70%にしなさいとの要望である。100万個の値段で今の値段設定があるのに30万個では到底70%ではできないので受注は難しい。でも受注する企業があって、結果的にどんどん価格が下がっていくと云うのが現実です」
と解答があった。
本日の審議会を含め、全体を通しての使用・消費者側委員のご意見、ご感想について
私の方は、文房具とか玩具関係を所管していて、今、会長から発言のあった件について、玩具協会の方に働きかけることが出来ると思う。
玩具協会も、ST基準、品質基準を設けていて、文房具についても安全基準と云うようなものもやっており、この関係で字消しの方についても、安全管理と云うことに真剣に取り組んでいて、日用品室としても安心して任せられる状態で、今後とも安全の管理に対して徹底して取り組まれるものと思う。
村田先生よりのCPSIA関する新しい情報等どうもありがとうございました。
引き続きまた、いろいろ勉強したいと思う。
今日感じたことは、一生懸命努力しているこう云う事をもっと外にわかるような方法はないか。経済産業省の方から報道関係に、例えば、子供の安全と云った時に、どの程度の標準が生きているのか。何を見ればそれで、自分が守れるのか。何かそう云うような特集番組を報道関係でやってくれると、消しゴムばかりでなくて、いろんな製品の表示を多くの人が注意して見るようになると思う。
今、注目のiPhoneでないが、そこに行ってちょっとある操作をすると、その見たい情報がもっと纏まって見られる。どんどんものすごいスピードとなって来ている。それぞれが努力した結果を提供できるようなことを、こちら側もやっておかなければならない。その辺をもう少し、提示の仕方と云うものについて、こちらも勉強しておかないといけないし、同時に報道関係も安全と云うことをキーワードにして、ユーザーがわかりやすい道案内、そう云うのを是非国の方から積極的に指導することが必要と思う。
図表示、マーク表示については、ライターでかなり、子どもが誤使用して問題となった。一方でライターの場合については、注意マークを表示するようになった。消しゴムについても子どもが使うことが想定されるので、絵表示等はわかりやすいと思う。注意表示だけだとわかり難いと云うこともあるので、消費者側と絵表示について勉強をする機会を得られるような形で進めることが出来ればよいのではないかと思う。
消費者にとって安くてよいというのが一番であるけれども、あまり安いものだと理由があって大丈夫かとなり、誰かが泣いているんじゃないかと思うこともある。ですのでがんばって欲しいと思う。

次に、こないだもこれについて質問をしたが、これはすごいと云うことで話をしたことがあり、補正値の掛け方、パーセンテージがすごく大きいと思う。この結果を見れば、補正値を掛けなくても、ぜんぜん問題ない値ではあると云うことなんだと思うけれども、実は、主婦連の環境部の方達がオモチャの鉛について、勉強をしていて、結構出たもの(検出されたもの)があって、補正値を掛けるので、数値が下がってしまうものがあって、ほんとに意味があるのかと云う議論があり、この補正値を掛けると云うことが話題になっていた。欧州の方では、補正値を掛けることに対して、赤信号を出していると云う話もあり、どうなのかなと思っている。
この意見に関し村田委員より
「確かにこれについては、当初、これをJISの文具の中に、何を持って根拠とするのかと云う話があり、数値、規制値および試験の方法等について、適切なものがなかなか無かった。含有率がよいのか溶出量で規制するのがよいのか。その規制値はどうあるべきなのかと云うところが議論されて、調べたところ、欧州でこのような規格があると云うところから、これが根拠になるだろうと云うことで、採用され始まった。その方法も、補正値については、欧州の方でバラツキが出やすいと云う問題が 当然ながら出ていて、これでよいのか。また、欧州の方でも、このような問題があるならば、もう少し研究をして、やり方等を工夫すれば何れは少なくなって来ると考えているようであるが、確かにご意見の通りである。現状では、まだその話を聞いていない。欧州の方で規格改正、またはISOに移行された場合については、当然ながらこの規格については、改めると云うことになっている」
との発言があった。

何度か審議会に出席したが、ほんとにこちらの事業者の皆様方の努力に頭が下がる思いで、そう云う努力が市場とか市場の反応に比例しないところが、非常につらいなと感じている。また、私どもの機関誌に安全管理マークを紹介した。
今後、安全と云う問題で、今までよりもっともっと取り上げられていくと思うし、そうした中で、消費者教育の重要性と云うところに、今、法律的観点も含めて、検討されつつあるところで、子供達にとって身近なおもちゃとか文具と云ったものを通して、その身近な安全だとか標準化だとか、マークとか、現実を見ながら触れて行く、考えて行く、字消しにおいても段々広げていけるような、そんな風になっていったらいいなと云うところでおりますし、そう云う機会作りを考えていきたいなと思っています。
今日は代理ではじめて参りました。
担当者は厳しい意見を云っているらしいですが、今日はとにかく行って聞いて くればよいと云う話で伺った。私は難しいことはわかりませんが、実際、家では随分消しゴムを扱います。主人が使っ後は、すごく汚い。テーブルの上が、黒いものでいっぱい貯まり、どうにかならないものかと云う思いはしてます。主人の答えは、しょうがないんだ、これだけのものを消すんだからと単純に今日云っていた。滓やなんかゴミになるそういうものに対して、ちょっとこれはなぁと思っている。
でも今、ここにある中にも植物性って書いてある消しゴムもあります。ですか ら段々とこういうものも変わってくるのかと思っている。
それと、前に内藤が云うには、その工場が大阪で、工場見学するにも大阪だから行くことが出来ないと云うような話がこの前の時にあった。何人かの人は、大阪であっても行って見てみたいと云う話があった。だから、そう云うところを見学するのもいいんじゃないかなと思っている。
それと、先日、これは字消しか玩具か分かりません。観光のお土産屋さんで、すごいどぎつい色の入ったものが、すごく売れていると云う話をテレビで見ました。日本で作るものはとても精巧なもので、一つ一つ部品が外れたり、一つの食べ物であったり、動物であったりしていました。色ものについては、以前にいろんな問題が起こってますので、確かに字消しかどうか定かでないが、テレビで見て、これは気になりました。


この意見に関し工業会側から
「私たち何社かは大阪ですが、何社か東京にありますので、全部見せてくれるかどうか分かりませんが、一度事務局の方にお話しいただきましたら東京のメーカーにも大阪のメーカーにも尋ねまして、入れていただけるところをご紹介したいと思います。よろこんで入れてくれるところもありますので、是非ご覧になっていただきたいと思います。
それから、今の植物性のお話しですが、環境対応と云うことでやっているんだと思いますけれども、これから環境と云うことを考えないといけない。日本は体制がそういう方向に行っていますので、我々もそっちの方向に行かないといけませんので、脱石油とか、これから環境と云うことを考えた上での一つの製品だ思う。それと玩具的なものについて、先ほどもお話ししましたように、審議会が出来たときに子供が間違えて口に入れるようなものは作ってはダメだと云うご指摘をいただきまして、そう云うものにはJISは付かないと云うことになっています。でもそう云うものを作っているメーカーもあるので、JISの替わりに安全管理マークで対応するとしたが、それでも実際のものと同じ色をしたり形をしたり、においがしたりするものは作ってはいけないと云うことを字消工業会の制約としています。
今ご覧になったところは非常に有名なところなんですね。なかなかしっかりした技術を持っておられまして、そして、毒性の心配もほとんど無いと思います。ただああ云う技術は、ここにいるメンバーはみんな持っています。すぐ明日から作れと云っても可能です。しかしながら我々はなかなか作れないと云うところがある。だからああ云うものはそのメーカーの独壇場になっています。あの品物はほんとに上手にアイデアを作っていまして、我々も感心するのですが、日本のお土産のNo.1になっています。すごく売れています。
それだけにあそこの会社は毒性の問題とか品質とかについては非常に気を遣っていまして、それはそれはすばらしい検査をしています。だから、お寿司のネタのようなものが多くあって、間違えて食べると云うところに問題があると思いますが、昔のように食べたから鉛が入っていると云うことはないが、消しゴムそのものが柔らかくなっているので、噛み砕いてしまって気管に詰めるとか、そう云うことが心配で、私どもの中では、そう云うものを作ってはいけないんだとしています。毒性の問題とかそう云うものについて全部クリヤーできています。非常に色がけばけばしい。このアイデアは中国が真似するぐらいですから、かなりのアイデアです。あのものそのものは、非常にレベルの高い製品です。買っていただいて消しゴムそのものとしてご使用いただく上では、何の問題もないものですが、口の中に入ると云うことが我々の思想とはあっていないと云うことです。お土産としては最高ですね。あそこは、年間何千人という子供達が見学にやってまいります、それを受け入れています。一度、行かれてみてはどうですか。それほど有名な企業です」
との見解が示された。

出席委員名簿

委 員
宮 村 康 夫
伊 敷 万太郎
斉 藤 一 朗
黒 木 由美子
村 田 政 光
赤 井 尉 浩
若 月 壽 子
浅 野 幸 子
秋 山 光 子
西 岡 靖 博
山 崎 理 右
塚 田 輝 夫
生 沼 秀 樹
矢 島 泰 行
山 崎 安 男
伊 藤 忠 彰
辻 尾 伸 二
吉 住 公 一


経済産業省 製造産業局 日用品室
経済産業省 環境生活標準化推進室
元株式会社つくば研究支援センター
財団法人 日本中毒情報センター
財団法人 日本文化用品安全試験所
財団法人 日本文化用品安全試験所
主婦連合会
全国地域婦人団体連絡協議会
東京都地域消費者団体連絡会
日本字消工業会会長(株式会社シード)
有限会社アミン
有限会社アミン
ヒノデワシ株式会社
株式会社ヤジマ
株式会社ヤマヤス
ラビット株式会社
ラビット株式会社
ぺんてる株式会社

事 務 局
新 谷 全 利

株式会社シード
(順不同・敬称略)
審議会委員のご紹介
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